会長ごあいさつ

松本 宜之

会長 松本 宜之

1981年4月本田技研工業入社,2006年6月同執行役員,2009年4月同生産本部鈴鹿製作所長,2012年4月同常務執行役員,2013年4月アジアホンダモーターカンパニー・リミテッド取締役副社長兼ホンダモーターインディアプライベート・リミテッド代表取締役社長,2015年4月本田技研工業(株)専務執行役員兼四輪事業本部長兼四輪事業本部品質改革担当,2015年6月同取締役専務執行役員,2016年4月(株)本田技術研究所代表取締役社長社長執行役員,現在に至る.

本会は1947 年に自動車に係わる学術団体として設立され,日本の戦後復興のまっただ中から,自動車産業の発展とともに歩み,今年創立70周年を迎えることができました.現在,会員数が5万人を超える学術団体として成長できたことは,ひとえに本会に携わる方々の垣根を越えたご尽力,ご活躍の賜であると,厚く感謝申し上げます.これからも皆様とともに育んでいきたいと思います.

この数年は自動車産業をはじめ産業界においても,世界の潮目が変わるほどの変革期を迎えていると実感しています.いま,製造業としては環境・安全に配慮し,質の高い魅力ある製品やサービスを世界のお客様に届けることは大切なことですが,これからは豊かで持続可能な社会実現に向けた貢献もまた重要です.

具体的には,地球環境保全に向けた気候変動抑制やエネルギー資源に関する問題解決,安全・安心な社会への貢献等において,モビリティに対する期待やさまざまな課題が取り上げられています.

まず,環境に対する課題としまして,昨年マラケシュ(モロッコ)で行われたCOP22 にて,新しい温暖化対策の枠組みに各国が合意形成し,各企業に対しても具体的な環境施策が求められてきています.環境適応車の拡大については報道でもいろいろと伝えられていますが,ドイツにおいて2030 年にコンベンショナルエンジン搭載車の販売禁止が採択されるなど,各国でZEV 化の動きが加速してきています.また,LCA の観点により「エネルギー」「資源」「廃棄物」最小化への取組みも厳しく求められてきています.

特に,化石燃料に頼らない再生可能エネルギーの活用が求められるなど,循環型社会実現への貢献が必須となってきています.

次に,安全・安心な社会の実現には,自動車に人と社会に「つながる」インタフェース機能をもたせ,安全性を向上させることで,高齢者や運転に不慣れなドライバや歩行者が安心で快適に移動できる環境が構築されなくてはなりません.

そのためには,自動運転などの次世代モビリティ技術の実現が必須となり,大規模インフラとの協調,情報通信,ビッグデータの利用,AI などの知能化デジタル技術,そしてこれらを総合的に活用するIoT 技術開発等の新たな技術分野での取組みも不可欠になってきています.

これらの新たな境地は,新しい自動車技術の可能性を生み出し,果敢に挑戦する意義をも生み出します.その可能性に向かって技術や産業の領域を越えて議論し,英知を結集し,形にしていくことがとても重要なことです.

自動車技術会は設立から70 年を経て現在に至り,学術講演活動,国際標準化,エンジニア育成などアカデミア領域の活動支援から,学生フォーミュラ,キッズエンジニアといった人材の育成支援に至るまで,自動車業界の発展に貢献してきました.

今後,自動車産業が変革期を乗り切り,社会や世界の人々の期待を越え,大きな飛躍を遂げるためには,さらに多くのチャレンジが必要です.自動車技術会が先駆者としてグローバルに自動車技術をリードし続けるために,一層力を尽くしていきたいと思う所存です.

(2017年1月発行 自動車技術会会誌 年頭のご挨拶より)

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