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Vol.14 No.1

新機構
佐藤 進
Susumu SATO
東京工業大学
Tokyo Institute of Technology

 A3-2「新機構」のセッションでは、新しいエンジンコンセプトに関係する発表が行われた。ここでは、アルミ蒸着膜を適用した鍛造スチールピストンによりディーゼルエンジンの熱損失低減効果を検証した事例について紹介したい。
 河原塚ら(1)は、ディーゼルエンジンの熱損失低減のために、輻射伝熱による熱損失を調査している。輻射伝熱を制御するための、スチールピストン頂面に反射率を高めるコーティングを施し、熱損失に及ぼす影響を実機エンジンにより検証した。
 まずピストンと同じ素材の試験片を用いてアルミニウム(Al)蒸着膜を施工し、その反射率を計測した。その結果を図1に示す。この結果を基に、Al蒸着膜をピストンに付与した場合、Al蒸着膜とステンレス溶射膜を付与した場合、Al蒸着膜とステンレス溶射膜をシリンダヘッド、ピストン両方へ付与した場合の熱損失を検証している。図2に通常ピストン、ピストンのみに施工した場合、ピストンおよびシリンダヘッドに施工した場合のヒートバランス結果を示している。Al蒸着膜を付与したピストンの方が通常のピストンに比べて熱損失が小さいこと、ピストン表面とシリンダヘッドの両方にステンレス溶射膜とAl蒸着膜を付与した場合、ピストン単体に施工した場合と比較して輻射伝熱由来と思われる熱損失が大幅に低減することを明らかにしている。

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【参考文献】
(1)河原塚 史裕、内田 登:アルミ蒸着膜を適用した鍛造スチールピストンの熱損失低減効果、第34回内燃機関シンポジウム講演論文集、No.20234693