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Vol.11 No.2

5 2ストロークエンジン
飯島 晃良
Akira IIJIMA
本誌編集委員、日本大学
JSAE ER Editorial Committee / Nihon University

 衞藤ら(5-1)は「チェンソー用2ストロークエンジンで発生する高速ノックの強度に影響を与える要因」と題して講演を行った。排気量59.8 cm3の2ストロークエンジンにおいて、回転速度9500 rpmという高速域でのノッキングの発生特性についての試験結果が報告されている。燃料には、異なるベンダーによる2種類の燃料を用いている。これらの燃料はいずれも北米排ガス認証用燃料であるため、オクタン価などの基本性状は同じである。それにもかかわらず、燃料の違いによって、同一運転条件でのノック発生時期やノック強度が異なることが示されている。図5-1に、初期火炎速度とノック強度の関係(左)、ノック時期とノック強度の関係を示す。初期火炎伝播速度が速いほうが、より強いノックが生じることが示されている。この理由として、火炎伝播速度が高い条件では着火遅れが短くなるためだと考察されている。このような高回転域でのノッキングの試験結果の報告例は少ないことから、貴重なデータだと考える。

【参考文献】
(5-1) 衞藤 邦淑、山口 史郎、吉崎 拓男:チェンソー用2ストロークエンジンで発生する高速ノックの強度に影響を与える要因、2021年内燃機関シンポジウム、No. 20202128