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Vol.12 No.5

自動車用エネルギーの最新技術動向
菊池 勉
Tsutomu KIKUCHI
編集委員
JSAE ER Editorial Committee

 前報で燃料による燃焼期間の短縮がリーン限界を向上させるとの結果を示した。安武ら(1)は、さらに燃料を構成する成分の影響を解明するため炭化水素の単体成分を軽質、重質へと変更した場合のリーン限界等への影響を検討し、
①オレフィンの軽質化は燃焼期間を短縮する②燃料成分の重質化とアロマの増量は燃焼速度の長期化に影響することを示した。
 その結果をもとに将来の商用化を見据えて、製油所で製造される軽質オレフィンを増加させ、アロマを減らした混合燃料(表1)を用い単気筒エンジンでの評価を実施した。従来のハイオク燃料と比較すると、リーン限界、熱効率ともに向上していることを示した(図2)。
 今後検討がさらに進み、これらの燃料と燃焼の組み合わせが社会実装されることによりCO2低減が早期化することを期待する。

 金子ら(2)は、4気筒エンジンと製油所由来の燃焼改善基材による、希薄燃焼と希釈燃焼(EGR)における燃焼改善効果を検討した。ここではEGR燃焼について紹介する。供試エンジンは市販のエンジンを用いて、燃焼限界を改善するためタンブルと点火を強化している。
 供試燃料はS5RとS5Hを基準燃料として、軽質ガソリン基材、エタノールを処方している(図1)。Fuel1、Fuel3では基準燃料に対して初期燃焼、主燃焼期間ともに短縮し、結果として、EGR限界付近の熱効率が向上することを示した(図2)。HCも低減しており、これも熱効率向上に寄与していると考察している。
 これらの燃料を用いたリーン燃焼の結果の紹介は省いたが、EGRと同じ改善傾向を示しており、リーン、EGR燃焼によらず熱効率を改善できる可能性を示したことは朗報である。

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【参考文献】
(1)安武 優希、内木 武虎、小畑 健、渡邊 学:炭化水素燃料によるスーパーリーンバーンエンジンのリーン限界に関する研究(第3報)、自動車技術会2022年秋季大会学術講演会講演予稿集、No.20225231
(2)金子 和樹、松原 直義、横尾 望、中田 浩一、内木 竹虎、小畠 健、渡邊 学:ガソリンエンジンのリーン燃焼・EGR燃焼に及ぼす燃料組成の影響、自動車技術会2022年秋季大会学術講演会講演予稿集、No.20225232