TOP > バックナンバー > Vol.15 No.8 > コラム: 君はガソリン1リットルで日本一周できるか?

コラム

野口 勝三
君はガソリン1リットルで日本一周できるか?
-本田宗一郎杯Hondaエコマイレッジチャレンジ-
Can you travel around Japan with 1 liter of gasoline?
野口 勝三
Katsumi NOGUCHI
本誌編集委員/本田技研工業株式会社
JSAE ER Editorial Committee / Honda Motor Co.,Ltd.
■はじめに

 “君はガソリン1リットルで日本一周できるか?”を合い言葉に、1981年に始まった『Hondaエコマイレッジチャレンジ』は本田宗一郎杯の称号を持つ唯一の大会である。カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが求められる現代において、本大会は環境モータースポーツとして注目を集めている。大会の特徴はエントリーチームのカテゴリーが、中学生クラス・高校生クラスから一般クラス等あり、中学生からエントリーできる。さらに2025年は各クラスにカーボンニュートラル燃料(CN燃料)クラスとガソリン燃料クラスの2種類が設けられているところである。これからの自動車産業を担って行く、将来の技術者達も参加でき、無限の可能性に挑戦し、独創的なアイデアと技術を競う研鑽の場である。そして、ものづくりを通して、仲間と力を合わせる喜びや楽しさを経験することができる大会である。本コラムではこの大会について紹介する。

■参加規則・競技規則・車両規則

 2025年全国大会は、10月11~12日モビリティリゾートもてぎのオーバルコースで開催される。グループカテゴリーは、全部で14クラスあり、CNグループⅠ(中学生クラス)はCN燃料を使用するクラスで、チームマネージャは教員の方とし、ドライバーを含むチーム員は同中学校に在籍している生徒としている。そしてエンジンはHonda製4ストローク50cc未満と規定されている。また別のクラスには、50cc以上150cc以下のエンジンを搭載したオリジナル車両で参加できるニューチャレンジクラス等もある。レースは規定周回数(距離)を決められた時間の中で走行し(平均速度25km/h以上)、燃料消費量から燃費を算出して、燃費性能の高さを競い合う。燃料供給は、大会事務局より大会公式燃料タンクの貸与があり、公式燃料が供給される。車体規定は、2人乗りクラスと二輪クラスを除いて、各クラス共通で図1としている。

 その他ブレーキ、スタータ、バッテリ、視界、安全性の確保等の規定がある(参考資料:競技規則書参照)。また、2026年から全クラス燃料はCN燃料のみとなる。これらの規則を守った上で、出場する各チームが独創的なアイデアと技術で究極の効率を求めて自由に車両を製作し、戦術を考えて燃費を競い合う、地球にやさしいカーボンニュートラルを目指す大会である。

■大会記録と将来への期待

 第1回大会は、1981年鈴鹿サーキットで開催された。参加チーム数は235チームで、記録は292.5km/lと最新の量産車と比較しても素晴らしい記録である。その後大会は回数を重ね、参加者のアイデアと技術向上は絶えることなく、図2に示すように、上下の凹凸はあるものの全体として記録は向上し右肩上がりとなっている。そして、現時点の大会最高記録は、2011年第31回大会で達成された3644.869km/Lという記録である。前述の合い言葉“君はガソリン1リットルで日本一周できるか?”の日本一周とは、本大会では46都道府県の主要都市を通るルートの総距離6000kmを指している。まだその目標到達への道のりは遠いかも知れない。しかし、本大会に参加する将来の技術者達の挑戦が、いずれこの目標を達成するであろう、そして日本の自動車技術を永続的に進化させることを期待している。

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