TOP > バックナンバー > Vol.15 No.7 > Exhaust Emission Catalyst SystemⅡ
Sungmu Choiら(1)は、EU7やTier4などの将来PNおよびPM規制に適合するGPF(Gasoline Particulate Filter)に関し、設計パラメーターが性能に及ぼす影響を調査することでメカニズムを解明し、GPFの最適化手法を提案した。検討に用いた2種のGPFの特徴として、壁面塗布のGPF(以下cGPF)はPN濾過率が低くすす酸化が高く、メンブレンGPF(以下mGPF)はPN濾過効率が高くすす酸化が低い。圧力損失はcGPFの方が高い(図1、図2)。両触媒の長所を活かし、mGPFの出口チャネルへコーティングを施したハイブリッドGPF(以下hGPF)のコーティングの最適化も検討した。モデル構築と実機のベンチ試験により検討した結果、新たなモデリングとシミュレーション手法を開発し、現象のメカニズムを理解しながら最適化することで、商品の優先度とGPFの最適仕様を結び付けて、開発の効率化を図ることができた (図3)。
Yoshidaら(2)は、尿素SCR触媒の表面化学反応を実機エンジンの運転状態で解明するため、数値計算モデルの作成に取り組んでいる。本報告では、エンジン試験結果を元にモデルの表面化学反応速度パラメーターを変更しモデルの精度向上を検討した。尿素水噴射パターンを一定供給とパルス供給の2種類とすることで、定常だけでなく過渡での精度向上も試みた(図4)。エンジン試験により測定したガス種の濃度、入口ガス温度、尿素水量(表1)を数値モデルに用いて検討の結果、シミュレーション結果は実機結果の排出ガス挙動を良く再現できていた(図5、図6)。NO2の挙動に注目すると、ガス入口温度300℃のような高温条件では、高速SCRの浄化性能が完了し、標準SCR反応が起こりにくくなることも分かった(低温域でのSCR反応は、式1での高速SCR反応のR.1~R.4、標準SCRのR.5を示す)。
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