TOP > バックナンバー > Vol.15 No.7 > 排気触媒システムⅠ
野内(1)は、エンジン排気からのCO2回収効率向上に向けた知見を得ることを目的に、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの排気ガスを使い、CO2を物理吸着法で回収する際の性能の違いを調べた。ディーゼルはガソリンに比べて排気中のCO2濃度が低く、そのためCO2の吸着量は約58%少なかった。また、ディーゼル排気は水やTHCといった吸着力の強い成分が少ないため、CO2残留割合はガソリンに比べ約86%低く、脱離しやすいという特徴が見られた(図1)。特に注目すべきは、ディーゼルに排気再循環(EGR)を加えることでCO2濃度を上げ、吸着量を69%増加できた点である。しかも、脱離性能はほとんど変わらなかった(図2)。さらに、CO2だけを含む人工的な混合ガスを使った実験では、同じ量のCO2があっても、濃度が高くガス流量が少ない方が吸着性能が向上することが明らかになった。こうした結果から、排気の性質や運転条件に応じて、CO2回収の効率を大きく改善できる可能性が示された。
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