TOP > バックナンバー > Vol.15 No.9 > 水素エンジンⅡ
村田ら(1)による発表で、同社の直噴水平対向エンジンにおいて、最小限の改造で水素エンジンとするため必要な改造要素について実験的な検討を行っている。主な検討項目としてオイル起因のプレイグニッション対策、ブローバイによるクランクケース内水素濃度管理、各種摺動部の摩耗対策である。一つ目のプレイグニッション対策として、ピストン張力やリングの変更による低オイル消費(LOC)化、カルシウム含有量の少ないオイルへの変更を行った。回転数やトルク違いの運転条件を設定して測定を行ったところ、低回転から高回転の高負荷部分でプレイグニッションが発生する傾向にあった(図1)。それに対して低LOC化対策を行った場合、中速域におけるプレイグニッションが抑制された(図2)。そのエリアのプレイグニッションにはオイルが関与していることが示唆された。また、カルシウム低減オイルを使用した場合、1200rpmにおけるプレイグニッションが発生しなくなった(図3)。5500rpmにおいては依然としてプレイグニッションが発生したが、これはスパークプラグ近傍の温度が700℃を超えていたことから温度起因であると考察している。この点については、後の質疑でプラグ近傍の温度かそれ以外も含めたものか、といった議論があった。
量産エンジンを対象としているため、内部の計測などに制約はあるものの、水素エンジンを運転するにあたって懸念される点について、貴重な知見を与えるものと言っていいだろう。
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