審査概要

本審査は、フォーミュラスタイルの小型レーシングカーを、学生がチームを組んで企画・設計・製作したものを持ち寄り、大会では車の走行性能だけでなく、車両コンセプト・設計・コスト審査など、ものづくりの総合力を競うものです。
マシンの製作にあたって、機械・電気に限らず幅広い実践的な知識を習得するとともに、性能向上・原価低減・商品性向上などにチャレンジします。また、昨今の若手技術者や学生に求められている『自ら問題を発見し、解決していく能力の向上』が期待できるとともに、ものづくりの素晴らしさ・おもしろさを実感し、さらに、メンバー間のチームワークやリーダーシップの発揮が不可欠であり、学生たちがものづくりを通して貴重な経験を得ることになります。
審査は、車検、静的審査【コスト・プレゼンテーション・デザイン】、動的審査【アクセラレーション・スキッドパッド・オートクロス・エンデュランス・効率】の審査結果、計1,000点満点で順位を決定します。安全性、デザイン性、そしてレースには欠かせないスピード。これらトータルで優れたチームが優勝を手にします。

審査種目 審査概要[配点]
①機械車検、②脱出、③フラッグ、④電気車検、⑤チルトテーブル試験、⑥騒音試験、⑦レインテスト、⑧ブレーキ試験
車検

① 機械車検

(車両の安全・設計要件の適合)

走行に適しているか厳しい検査を受けます。
検査をして、走行の安全性を確認しています。検査をするスタッフの方は、自動車メーカーの方や、過去に学生としてフォーミュラに出場したボランティアスタッフです。車検を通過しなければ、動的審査は受けらない為、チームにとっては最初のハードルになります。

② 脱出

(5秒以内にドライバーが脱出)

事故が起きた事を想定し素早い脱出が求められます。
5秒で脱出しなければなりません。これは日々の反復練習が必要です。ドライバーは運転テクニックだけでなく、俊敏な動きも求められます。

③ フラッグ

(動的審査時に使用するフラッグの意味を確認)

動的審査時に使用するフラッグの意味を確認します。
ドライバーは走行中に各ポストで掲示されるフラッグの意味を瞬時に理解する必要があります。これは安全にコースを走行するために必要なことです。掲示されているフラッグを見逃してしまった場合はペナルティを課せられます。

④ 電気車検

(車両の電気的設計要件の適合)

EVクラスのみが受ける車検になります。
電気的な安全性が取れているか厳しいチェックを受けます。検査内容は高電圧作業用の装備品チェックから車両を駆動させるための低電圧回路の動作確認、そして高電圧印可までを行います。一定の検査を通過しないと機械車検を受けられないので、EVクラスのチームにとって最初のハードルとなります。

⑤ チルト試験

(燃料漏れとドライバー乗車で転覆しないこと)

45度に傾け燃料や冷却水の漏れを確認します。
燃料が漏れていた場合、走行時に火災の原因に繋がりますので、二人のスタッフが確認を行います。写真では、ドライバーが乗り込んだ状況で、60度の傾斜で横転をしないかを確認しています。また、走行中にカーブでドライバーが車から振り落とされてしまうことが無いかの確認も兼ねています。

⑥ 騒音試験

(所定の条件で排気音110dB以下)

アクセルを踏み込み、騒音試験を行っています。
所定の条件で排気音110dB以下となっています。
私たちの日常生活で、おおよそ100dBの音は「電車通過時のガード下」の音です。騒音の種類では、非常にやかましい部類に入ります。

⑦ レインテスト

(降雨を想定しての絶縁性確認)

車体に水をかけて絶縁性を確認します。
2分間、車体上部から水のシャワーをかけ続け、水を止めてから2分間車両に触れず監視を続け漏電の恐れが無いか確認します。漏電が無ければ車体上部のTSALランプが赤色点滅のままとなるが、漏電がある場合はランプの色が緑色の常時点灯に切り替わります。

⑧ ブレーキ試験

(4輪のフルロックを確認)

ブレーキが効くかを確認します。
左側のチェッカーが旗を振ったらスタート。勢いがついたところでブレーキ。(万が一のために消火器を持ったスタッフが近くにいます。)両サイドにいる4人のスタッフが1輪ずつ監視し、タイヤがロックしているか合図を出します。4人全員がロックしていると合図を出せば合格となります。


[静的審査]
コスト
[ 100 ]

予算とコストは、生産活動を行うにあたって考慮しなければならない重要な要素であることを参加者に学ばせることが狙い。車両を見ながら事前に提出したコストレポートのコスト精度、チームによる製造度合等を確認し、レポートのコストと車両との適合を審査する。一般に購入品目となる2項目について、部品製造プロセスなどの口頭試問を行い、それらの知識・理解度を評価する。

車両製作にかかったコストの審査を受けています。
審査員が製作した学生に口頭で尋ねながらすすめていきます。細かいパーツまでしっかりと理解をしていないと、審査員にうまく伝えることはできません。高価な部品を使うことがすべてではありません。より安全かつ速く走れる、そんな部品やパーツの選択が必要です。

[静的審査]
プレゼンテーション
[ 75 ]

学生のプレゼンテーション能力を評価することが狙い。プレゼンテーションは、『審査のコンセプトに沿い、製造会社の役員に設計上の優れていることを確信させる』という仮想のシチュエーションのもとで行う。

審査員が見守る、緊張のプレゼンテーションです。
車両製作を行う企業という設定のもと、世の中のトレンドに対するビジネスプランやそれに則した設計・製作手法を取り入れているといった内容をプレゼン用資料に落とし込みます。エンジニアとして活躍するためには、ただ製作するだけではなく、プレゼンテーション能力(見せ方)も問われてきます。いかに市場にマッチし、優れた販売戦略と車両の性能であるか、熱く説明をしています。

[静的審査]
デザイン(設計)
[ 150 ]
事前に提出した設計資料と車両をもとに、どのような技術を採用し、どのような工夫をしているか、またその採用した技術が市場性のある妥当なものかを評価する。具体的には、車体および構成部品の設計の適切さ、革新性、加工性、補修性、組立性などについて口頭試問する。
審査配点としては、[150]点ととても高い配点になる、デザイン(設計)の審査。
ここでも口頭質問があります。ただフォーミュラカーを製作しただけでは評価はされません。いかに他のチームと違う優れたフォーミュラカーを製作するのか、そのセンスが問われます。
[動的審査]
アクセラレーション
[ 100 ]
直線0-75mの加速タイムを競う。
各チーム2名のドライバーがそれぞれ2回、計4回走行可能。
上位チームのタイムは4秒台前半。
[動的審査]
スキッドパッド
[ 75 ]
8の字コース(右2周・左2周)によるコーナリング性能を評価。
各チーム2名のドライバーがそれぞれ2回、計4回走行可能。
上位チームのタイムは5秒台前半。
[動的審査]
オートクロス
[ 125 ]
直線・ターン・スラローム・シケインなどによる約800mのコースを2周走行する。
各チーム2名のドライバーがそれぞれ2回、計4回走行可能。
ベストタイムを競う。エンデュランスは、このオートクロスの早いチーム順に走行する。
[動的審査]
エンデュランス
[ 275 ]
直線・ターン・スラローム・シケインなどによる周回路を約20km走行する。
走行時間によって車の全体性能と信頼性を評価する。
[動的審査]
効率
[ 100 ]
エンデュランス後の燃料・電力消費量を評価します。
  合計[ 1,000 ]

ルール