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Vol.12 No.5

xEV技術
清水 健一
Ken-ichi SHIMIZU
編集委員、早稲田大学
JSAE ER Editorial Committee, Waseda University

 第3日に3セッション(終日)開かれたxEVセッションでは、電動車両に関する広範な発表が行われたが、電動パワートレインに関するものとHEV、PHEVの最適制御手法に関するテーマが目立った。ここでは電動パワートレインに関するチャレンジ的な2テーマを紹介する。
 インホイールモータに、モータの効率と出力密度で有利な高速回転の小型モータを採用する方法は、大幅な減速が必要であるので減速機込みのサイズ・重さの点で課題となるが、髙トルクモータで直接駆動する方法では、要求トルクの面から枠の大きなモータが必要となる。伊藤ら(1)は、ロータの磁石配置を図1左の通常の表面配置(SPM)から、磁石の磁路長が短く磁束密度が高いHulbach array型(図の右側)に変更することで、コンパクトで実用的なセットを実現した。外観は図2に示すとおりで、インバータとモータ(いわゆるElectric Drive)が19インチホイールに入るサイズで、ブレーキやサスペンションは従来のものを使用できる。ベンチテストの結果、最大出力60kW、最大トルク960Nmを確認しており、最大出力時の出力密度は2.5kW/kgを確保している。
 集積度が高いこともあって、モータ・インバータの冷却は重要かつ難しい課題である。須藤ら(2)は、一般的な油滴や攪拌による油冷ではなく、図3に示すいわゆるドブ漬けの油冷システムについて紹介した。車体側に設置された油圧ポンプで送られた油でインバータを先に冷却し、次にモータ部分を環状流路で均一に冷却した後、車体側の熱交換器に戻るもので、制動時のブレーキディスクやキャリパの熱からロータの磁石やインバータを守ることも考慮した冷却となっている。ベンチテストの結果、ポンプの油量制御で温度管理が可能と読める特性が明らかになっており、冷却能力も十分であることを確認している。今後、性能検証を継続するための試作EVも用意されている。

 高橋ら(3)は、大型EVトラックには図4に示すように高速走行での髙効率要求を満たした上で、積載時の登坂に大トルクが必須であることが変速機の併用を必要としているとし、図5に示すようにフィールド巻き線を2分してこれを直/並列接続に切り替えることで、高速走行時の効率をそのままにして低速時に髙トルクを発生する方法を紹介した。機械的接点によるこの切り替えは、接点の寿命の点で現実的でなかったが、開発した1極について多点でコンタクトするマルチコンタクト接触子によってこれを可能とした。低速での必要トルクを基準にしてモータを設計する手順をを述べ、これによって得られたモータの特性を例示している(図6)。これによって、モータ体格を大きく低減でき、駆動システムの小型化を実現できるとしている。

 竹内ら(4)は、このモータの電費について検討した結果を紹介した。ⅰ)フィールド切り替え機能のないもの、ⅱ)開発した機械的SWによるもの、ⅲ)電子SWによるもの、ⅳ)コンベンショナル(電子SWによりフィールドが2倍に変化する)の4種について、JC08とWLTCのモード走行時の電費を計算した。結果は図7に示すとおり、あまり差がなく、特にWLTCではほとんど差がない。この点は、フィールド切り替えが、低速域ではフィールド抵抗が4倍になるので損失も増加することを理解したうえで、必要が生じた場面で、同じ体格のモータで十分なトルクを確保することが目的であるので、モード試験で電費が悪化しないことが成果であるといえる。

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【参考文献】
(1)伊藤 誠、須藤 哲也、高橋 暁史、原 崇文、岩野 龍一郎:ハルバッハ配列磁石を用いた高出力密度インホイールモータの開発、自動車技術会2022年春季大会学術講演会講演予稿集、No.20225324
(2)須藤 哲也、伊藤 誠、高橋 暁史、原 崇文、岩野 龍一郎:インホイール駆動システム向けダイレクト油冷技術の開発、自動車技術会2022年春季大会学術講演会講演予稿集、No.20225325
(3)高橋 暁史、杉本 愼治、西濱 和雄、星野 勝洋、前川 典幸、櫛田 昂歳、大槻 弘達:インホイール駆動システム向けダイレクト油冷技術の開発、自動車技術会2022年春季大会学術講演会講演予稿集、No.20225326
(4)竹内 啓祐, 高橋 暁史、西濱 和雄、星野 勝洋、前川 典幸: 電気自動車用主機モータの巻線切替方式による電費改善量比較、自動車技術会2022年春季大会学術講演会講演予稿集、No.20225327