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TOP > バックナンバー > Vol.15 No.7 > 先進ガソリン機関技術Ⅱ-CN燃料Ⅱ-
中間ら(1)はカーボンニュートラル達成の一手段としてλ=1過給直噴水素エンジンの開発を進めており、本報ではそのコンセプトの有効性を示している。水素エンジンへの対応として変更した主要ハードウェアを表1に示す。早閉じミラーサイクル、高流量の低圧EGRシステム等を採用することで、水素燃焼でも全域λ=1運転が実現できるという。図1に2500rpmBMEP1200kPaでの軸熱効率とエンジン出口でのBSNOxを示す。熱効率、NOx排出量の観点でDI方式のλ=1燃焼はほかの方式と比較して遜色ない性能を発揮できるとしている。凝縮水による腐食摩耗も検討が進められており、今後さらに信頼性を高めていくと報告があった。リーン燃焼を使用せず、λ=1において三元触媒およびEGRを採用した水素エンジンの開発より、出力およびコストの両面でメリットが得られる。この技術の今後の進展および量産化が期待される。
山田ら(2)は低圧直噴水素エンジンにおける水素噴射弁の高噴射率化が、熱効率やNOx排出に与える影響を低噴射率噴射弁(LFRI)と高噴射率噴射弁(HFRI)を用いて評価している。両噴射弁の仕様を表2に、噴射拡がり角は図2に示す。LFRIとHFRIの図示熱効率とNOx排出濃度の関係を図3に示す。高噴射率化により、同一NOx排出濃度域において図示熱効率が約2%向上し、最大で50%を超える値を得たと報告があった。そして、この熱効率向上は、高噴射率化によって、混合時間が長期化することによる混合気の均質化、および燃焼流速の低下による、冷却損失低減効果だと考察している。NOx排出量の低減が課題であると認識されており、今後はより高い噴射率等の最適化を検討することで、更なる熱効率向上および低NOx化が期待される。
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