TOP > バックナンバー > Vol.15 No.7 > 次世代の燃料・潤滑油・トライボロジー技術II
堀場ら(1)(2)は、ウルトラファインバブルを含むエンジン油がピストンおよび軸受の摩擦損失に及ぼす影響について2報に分けて報告している。図1にはSAE粘度0W-20の潤滑油を用いて測定されたピストンの摩擦損失低減効果が破線で示されている。 1000rpmでは3%低減しているものの1500rpm以上ではかえって摩擦損失が増えていることがわかる。それに対し軸受では逆に図2に示すように高回転時には摩擦損失が10~20%も減少している。しかし軸受においても潤滑油粘度が0W-8になると、摩擦損失はかえって悪化していることが示されている。本技術の効果が表れる潤滑状態や、摩擦損失低減のメカニズム解析、さらには動弁系への適用可否の調査などが期待される。
使用済みオイルを再生したオイル(RRBO)の新油への配合がインド、トルコではすでに義務付けられている。使用済みオイルの回収義務付けおよび燃料使用の禁止は世界的な動向である。日本では回収率は高いがほとんどが燃料として使用されており課題である。渡部ら(3)から、基油種類によるRRBO性能の比較が報告された。SP/GF-6のGroupⅢ(GTL)、GrⅢ(鉱物油)のRRBOは新油と比較して遜色なく、酸化安定性、粘度変化についても問題ない性能を示した。一方、GroupⅡのRRBOが一部入っているものでは、要求仕様を満足できなかった。GroupⅡでは酸化安定性も悪化している。これらを用いた燃費試験では、GroupⅢでは燃費△0.2%であったが(図3)、GroupⅡでは2%以上の悪化を示した。
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