TOP > バックナンバー > Vol.15 No.9 > ガソリン燃焼
森川ら(1)は「高負荷ほど正味熱効率を向上できる」との考えのもとに、小型ガソリンエンジンの熱効率向上を目指し、新火花点火燃焼方式を考案した。高負荷で、空気過剰率3以上の希薄燃焼を実現し、グロス図示熱効率53%超えを達成したとの報告を行った。第1報では、燃焼方式の特徴を説明し、後述第2報では、三次元CFDによる新燃焼コンセプトの確認と実機検証結果をデータで示している。狙いとする新コンセプトの概念を図1に示す。このコンセプトは、主室は火炎伝播が困難な程度の超希薄混合気とし、副室ジェット噴流が壁面に衝突しないようにしている。未燃部となる混合気は順次自着火を誘発させることで、理論熱効率の向上、冷却損失・未燃損失の低減を実現することが期待される。本燃焼コンセプトを「高効率反応制御燃焼(Superior Efficiency Reactivity Controlled Combustion:SERC燃焼)」と名付けるとの報告があった。今後実用化に向けたゼロNOxや多気筒実機二段過給システムでの実証等に期待が寄せられる。
野村ら(2)は、上述(第1報)に引き続き、(第2報)として新燃焼方式(SERC燃焼)実現の可能性を三次元CFDでの数値計算と単気筒実機検証にて追究している。副室からの高温ジェットが壁面に到達する前に、未燃混合気が連鎖的自着火で燃焼することで、ノッキングを伴わずHCCIに近い迅速な燃焼が実現されたとみなしている。図2に本研究で用いた計算条件でのヒートバランスを示す。最大図示熱効率は8噴孔で55.2%、冷却損失も10%前半を記録している。SERC燃焼は高い図示熱効率と冷却損失低減に寄与する可能性が示唆されたと報告があった。また、実機検証では、量産エンジンの単気筒のみを使用し、副室仕様に改造した。その副室(図3)は、CFD結果から8噴孔を採用している。図4に各運転点のヒートバランスを示す。実機検証でも、過給圧550kPaで、IMEP(g)=2343kPa、グロス図示熱効率53.8%、冷却損失9.4%、未燃損失1%未満、NOx排出0.2g/kWh未満を実現したと報告があった。興味深い新燃焼方式SERC燃焼の今後の進展に期待したい。
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