TOP > バックナンバー > Vol.16 No.4 > 先進ディーゼル機関技術I
岸(京都大)ら(1)は、既存のディーゼル機関のレトロフィットとして、水素添加のデュアルフューエル機関に注目し、水素混焼率が機関性能、排気性能(特に粒子排出挙動)に及ぼす影響を調査した。排気量550cc、圧縮比16.3の単筒エンジンを用い、ディーゼル噴射系はコモンレール、水素は電子制御式噴射弁により吸気管内に噴射した。回転数1800rpm、負荷IMEP0.4、0.7、1.2MPa(軽油のみ運転時)の運転で、水素混焼率を0、0.25、0.50、0.75、0.90とし、投入熱量を一定にして実施した。
その結果、水素混焼率を高めるにつれて熱効率は一旦低下するが上昇に転じることや、水素混焼率が0.75ではSmoke濃度の増加に比べてPNの増加は小さいことが分かった(図1-1、図1-2)。そのため、粒径分布解析(図1-3)や燃焼解析を行い、粒径20-100nmの凝集モード粒子の大幅な減少が、混焼時のSmokeとPN低減に寄与していることを明確にした。
西岡(マツダ)ら(2)は、高効率ディーゼルエンジンと水素化処理植物油(HVO)の組み合わせによるCO2低減に着目し、軽油とHVOの特性の違い(表2-1)から、動力、排出ガス、燃焼騒音への影響を調査した。上死点付近での予混合燃焼をHVOでも成立させるため、空間制御予混合燃焼コンセプトを構築した。2段エッグ燃焼室と多段噴射による燃焼室空間の有効利用により、着火遅れに依存した混合気形成が困難なHVOにおいても、噴霧干渉抑制にて煤発生の抑制を狙った(図2-1)。二次元断面を模擬した撮影が可能なRCEM(図2-2)による実験と、CFD解析により空間分離のコンセプトを確認し、実機エンジンにて評価した。その結果、両燃料におけるトルクに有意差が無いこと、排出ガス性能は同等もしくはHVOの方が低減を示すことが分かった(図2-3、図2-4)。燃焼騒音や部品の信頼性も有意差が無いことを確認した。
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