TOP > バックナンバー > Vol.16 No.4 > 先進ディーゼル機関技術Ⅱ
FEV社の研究グループ(1)は、2.15L/気筒の直列6気筒エンジン(BTE:48.7%)をベースとし(図1-1)、ハイブリッドパワートレインへの進化も見据えて、BTE56%の達成に向けたコンセプト(図1-2)を提案した(表1-1)。3D-CFD(Converge V3.0)と実験検証により、圧縮比を21から26、最大筒内圧力270〜300 bar、インジェクタのノズル流量3500cc/min、過給機(図1-3)やフリクション改良、遮熱などによりBTEを51.5%へ向上できることを示した。さらに、48Vマイルドハイブリッド+ランキンサイクルによりBTE53%、ターボコンパウンド+電動補機によりBTE54%、アトキンソンサイクル+最大筒内圧300 bar+低粘度オイルによりBTE56%が達成できることを示唆した。
座間(群馬大)ら (2)は、ディーゼルエンジンの壁面熱損失の因子と考えられる壁面粗さの影響を解明するため、衝突する非定常噴霧火炎にPIV法を適用し速度場計測を行った(図2-1)。通常、火炎へのPIVは、輝炎発光と入射レーザ光によるトレーサ粒子からの散乱光の分離が難しい。そのため、含酸素燃料であるジエチレングリコールジメチルエーテルを燃焼させ煤の生成を抑制し、噴孔に付着させた酸化マグネシウムをトレーサとして計測を実施した。定容容器の雰囲気を773K、2.9MPa、燃料噴射圧力を60、100 MPaとして計測した結果、壁面衝突噴霧火炎内の平均速度(図2-2)と無次元乱流エネルギー(図2-3)において、壁面粗さによる顕著な差は見られなかった。これは、壁面粗さに比べて粘性底層の厚さが十分に大きく(図2-4)、流体力学的には平滑面とみなせるためと考えられる。
町井(NACE)ら(3)は、既報で提案した図示熱効率と冷却損失の同時改善を狙うHigh-heels型熱発生率制御(図3-1)に関し、マルチインジェクタ燃焼系を搭載した単気筒エンジン(ボア135mm×ストローク150mm)を用いて試験と解析を行った(図3-2)。得られた熱効率には、本研究の目的である熱発生率形状の制御による影響のほかに、マルチインジェクタに由来する影響も含まれることが想定される。そのため、熱発生率形状制御、火炎配置、スワール減速の3要素による影響を切り分けるために、燃焼試験や可視化試験、CFD解析を実施した。その結果、マルチインジェクタ燃焼系を用いてHigh-heels型熱発生率に近づけることで(図3-3)、従来単段噴射と比較して図示熱効率の向上と冷却損失の低減が確認された(図3-4)。しかし、その改善効果の大部分はマルチインジェクタ燃焼系そのものに起因する可能性が高く、High-heelsによる寄与を明確に分離するには至っていない。このため、マルチインジェクタ燃焼系を基準とした比較試験を計画している。
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